対談・ガラシャの白詰草 誕生エピソード




対談・京都国立博物館

長岡京市勝竜寺城公園




 
Q:どうしてガラシャのお茶碗を作ろうと思いになられましたか?
 
A:丁度、TVの大河ドラマ「麒麟がくる」の放映が決まってからでしたね。この歴史ある長岡京市に京都東山から引っ越して来たのが約40年前になります。そして、お店を出したいと思ったのが四年前でこの長岡京市なんです。

Q:今はどちらにお住まいですか?

A:今は長岡京市と隣の向日市の境目の一文橋のあたりに住んでいます。以外と便利でお店まで歩いても散歩程度でしたから。この場所もご縁がありましてすぐに決めました。話は長くなりますので。

Q:茶道具の骨董美術品を扱うお店を始めになるキッカケは何でしょうか?

A:これも話が長くなりますので掻い摘んでご説明すると、海外アートの輸入を当時していた時に某百貨店さんの美術画廊の業者さんとの繋がりからご紹介を頂き、そこからどんどんどんどん広がって行ったのです。気がつけば古美術品を扱っていたのです。

Q:それで今回の歴史的な大河ドラマ「麒麟がくる」とつながったんですね。

A:明智光秀の三女姫玉が嫁いだ勝竜寺城公園があったのと毎年行われているお祭りからです。長岡にお店を出さしてもらって4年でしたか、それまであまり知らなかったガラシャのお勉強をする様になたんです。


 
2022年ガラシャ祭
 

Q:美術品を扱うお店ですから当然といえばそうなんでしょうね。

A:はい。すると、調べていくうちに意外とガラシャと関係する美術品が伝来して残っていないんですね。(これからまだ出るかもしれませんね。)名前は世界に轟き渡っていますのにこれではガラシャも寂しいでしょう。


 
世界

ガラシャ栞
 

Q:お父さんの光秀公も少ないですがそれでもまだガラシャよりは残っている方ですよね。

A:そうですね、それにしても坂本城と安土城が潰されたのは歴史上もっとも大きな損失でしょうね。話が逸れましたがどうしてガラシャに関係した美術品が少ないのか大変興味を持ちました。でも、このご時世ですからそろそろ鑑定団にも出て来てもおかしくはなのですがね。まだまだ眠ったままの美術品があるかもしれませんね。


 
棗


Q:そうですよね。ところで、お茶もされているんですか?

A:とてもとても「お茶してます〜」とは自分の口からは裂けてもいえませんよ。考えみてくださいよ、当時は茶入1個で国が買えるんですよ。また命をかけた戦いのご褒美に茶道具をもらったんです。そのような茶道具を「お茶してます〜」とはとても当時でも大名あたりでないといえませんよね。現代ではさしづめ、そですね最低でも二部上場企業でも立ち上げた者ぐらいでないとね。

Q:でも、お茶のお稽古教室をされているのではありませんか?

A:それはそうですけど、茶道具を主に扱うとなると全く知らないようではお客様も来られないし、第一に値段がわからないようでは損をしますからね。もちろん儲けようとは思っていませんけど地域の高齢者方々との居場所作りになればと思いましてね。

Q:京都は御家元がたくさんありますが、どちらの御流派を?

A:私はご縁をいただいたのは裏千家流今日庵なんですよ。今振り返るとどうやら違う目的で私をお仲間に誘っていただけたようですよ。私の家系が武士なので薮内家流、上田宗箇流、大日本茶道学会などに興味を持っていましたがご縁が無かったんですね。今は金森宗和に興味がありまして・・・・・。

Q:で、今までお客様はどうですか?

A:かぞえるほどしかありませんでしたね。ここでの御稽古は足がかりとでも申しますか、お茶をしてみたいと御感じになれば目的は達成なんですよ。その先はしっかりした先生方へおつなぎするまでで私の仕事はそこまでです。どの流派をお勉強してみたいとかはその方がお選びになり、そのお手伝いをさせて頂くだけです。

余談なのですが、このお茶とは申し上げるまでもないのですが昔は上流社会に独占され、一般庶民までにはお口にできなかった代物なんです、それがいまではスーパーでこそお薄・濃茶は置いていませんが百貨店ならどこでも買えるんですよね。これを飲まない訳がないでしょ。健康のためにも私はいいと思いますけど。

Q:ずいぶん話がそれましたのでこの辺で休憩しましょう。

A:そうですね背中がいたくなって来ましたからお茶にしますか?10分休憩ということで。


 
野間味土野の水仙
 

Q:続けていきますね。大河ドラマ「麒麟がくる」NHKさんとはどこでお知りになったのですか?

A:市の広報で見かけたんです。NHKさんがロゴの使用を募集していたんです。私も使用してお店のPRにもなって番組が盛り上がればと思いましたので簡単に申し込みました。そしたらOKが出たんですよ。


 
NHKエンタープライズ

 
Q:特にお茶碗にこだわったのにはなぜですか?

A:たまたま扱っていたお道具で多かったのが茶碗でした。そして一番お勉強できたのがお茶碗でした。また生まれたところが陶器の盛んな五条坂の近くでしたので私も陶器が手っ取り早いと思いました。幼馴染には大半が陶器に関係した人たちでした。
お店のオープン時に催しでお世話になったところも、実はいま亡き同級生だった友人の姪御さんの陶房なんですよ。

Q:そうすると今のお茶碗はその方々の結集なんですね。

A:簡単にはそう言うことでしょうね。デザインから環境から全てを検討して時間を掛けてクリアするには本当に大変でした。何度もやめようと思いました。そして実際にガラシャの足取りで主要な場所を歩いて廻りたいと思って、ある程度の下調べをして廻りました。

Q:では、あの丹後幽閉地も行かれたのですか?

A:はい、行って来ました。その前に大阪のカテドラル聖マリア大聖堂に伺いました。そにはガラシャの関係した大型の絵画が飾られていて正面の「栄光の聖母マリア」を拝見して、これはどうしても成し遂げねばならない企画と思いました。それで写真をいただきたいので教会にご無理をお願いしました。ところがここからどんどん広がって絵画の作者・堂本印象画伯の美術館までご紹介をいただき手続きを行う事となりました。この間に野間味土野は諦めていたのですがやっぱり行かないと、ガラシャの気持ちに少しでも近づかないと読み取れないと思い行って来ました。いまでも大変な道と場所にありまして、その時代はもっと大変であったと思いますよ。


 
聖母マリア
 
 

Q:もう少しその場所のお話をお聞かせ願えませんか。

A:いいですよ。小さな車でしたので心配はしていなかったのですが途中は道路の崖崩れで閉鎖があったりして迂回をしていきました。今はナビがあるので逸れる心配はなかったので安心はしていましたが。よくぞ無事に帰れたと今でもたまに思いました。それはもう普通車ではとても危険でしたよ。「ガラシャの祈り」横島昇さんの本を読んでいましたので行って良かったと感激しましたね。

 
 
野間味土野
 
Q:他に何かをお感じでしたか?
 
A:そうですね、現代だから感じる事がそのまま当時としてそうなのかどうかは別にして、今だにわからない雰囲気にもなりましたね。この山奥で2年も幽閉されたんですよ。ガラシャ(当時はまだ玉でしたね)にしてみれば生まれたばかりの子を宮津に置いてきて、夫はどうしろと言いたのかとか色々疑問に思ったのではないでしょうか。私でもあのような場所では何かに支えられないと生きていけませんよ。まあ一度時間があれば行ってください。
 
Q:機会があれば行ってみます。ではお茶碗についてもう少し詳しくお聞かせください。
 
A:このお茶碗は京焼・清水焼と言われる部類のもので特に粉引というお茶碗に色絵を施されています。カテドラル聖マリア大聖堂に献上に作家さんと一緒に伺って前田大司教様にお渡しした時に御説明を抜かしてしまったのをいまでも覚えています。とにかく身近に接してくださいましたので感激のあまり緊張しましたよ。

 
教会
 
 
Q:大司教様に面会できたのですか?それは良かったですね。
 
A:はい、ご一緒にお写真を取らさせて頂きました。また色々な詩集のお話もして戴きました。この件はまた別の機会にでもご報告させて戴きます。
 
Q:お茶碗の四つ葉には何か意味がありましたか?
 
A:しおりにもご紹介してますがクローバーは葉の一枚ごとに意味がありまして「聖なる神・キリスト教・聖霊」に例えられ、三位一体の教え「信仰・希望・愛」と三つの幸福のシンボルととも言われています。後に出てくるしおりをご覧ください。

 
ガラシャの白詰草
 
 

Q:では四つ葉の紫色は何か意味がありましたか?
 
A:ご存知のように宗教的に最も高貴な色が紫色なんですね。またガラシャのイメージにぴったりでしたからすぐ決めました。
 
Q:川の流水の意味は何かございましたか?
 
A:これはお城にも湧き出ている「おもかげの水」と野間味土野へ行ったときにこんなところによく井戸が掘り出されたものだとびっくりしましてね、水の流れはまさしく人生の如くで特別な感想をその時に抱きました。これらの表現が出来る絵柄をお願いしてあのように取り入れられたわけです。
 
Q:川の流れは琳派ですね。
 
A:はい尾形光琳の流水にまさしく歴史的な細川家と明智家の御紋を、そしてシンボルのクローバーがお茶碗の見込みから流れ出してお口から体全身へと行き渡り、当時のガラシャを偲んでいただける工夫が施されています。どうです、あなたも一服いかがですか。
 
Q:ありがとうございます。お稽古考えてみます。
 
A:まだあるんですよ、呑み終えた後にお茶碗の拝見があるんですよ。お膝前において一期一会のお気持ちで、今日この機会にこのお茶室で、このお茶碗でお会いした方々と楽しく過ごせたこのことの感謝をこのお茶碗にするわけですね。四つ葉をどこにあるか探して出してください。見つけた方には必ず幸せがやってくるのですよ。
 
Q:それはいいですね。四つ葉を探し得た充実感はあるでしょうね。
 
A:なんでもないことですがそれが禅に通じる精神なんです。一服の呼吸とでも申しましょうか。そしてこれだけはお教えしたい最後の秘密がこのお茶碗にはあるのです。ガラシャが短い生涯生き延びた38年の数字に因んで1点ごとの限定ローマ数字が一椀ごとに38個焼き込まれているのです。世界に38点しか存在しないと言うわけです。

 
ガラシャしおり

 
 
Q:そのわりにはと言っては失礼ですがお値段は手頃ですね。
 
A:始めはもっと高く設定していました。でもコロナ禍で影響を受けて結果は質など内容を変えずに昔の非課税価格設定をして売り出したのです。これはサービス精神がないとできませんよね。もちろんほとんどは作家様のご努力が一番だとは思っていますけど。
 
Q:まだ在庫はありかすか?
 
A:はいほとんどイベントやPRはして来なかったのでまだございますのでよろしかったらご購入ください。当時は海外への輸出は契約上できませんでしたが今はできるようになっていますからどうぞご注文ください。海外へも送ります。お待ちしてます。
 
Q:最後になりますが今後も創作されますか?
 
A:はい、以前から予定しているものがあります、私はもう古い人間なんでしょうか、現代人は周りばかり気にして中味が疎かになっているように思います。それではいい仕事できませんよ。いいものは生まれませんよ。芸術は爆発と破壊から産まれると誰かが言っていましたね。次回また来てください。ありがとうございました。

 
      於:草庵 阿里伽   

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